市内の学校現場に「スクールドッグ」の授業と、子どもたちの居場所となっている「自立支援教室」の現場を視察させていただきました。
1. 1割近くの子どもたちが抱える「しんどさ」と、学校の中の「居場所」
現在、30日以上学校を欠席している「長期欠席」の生徒は、全国的にも、そして今回視察させて頂いた学校でも全体の約1割にのぼるそうです。 かつては「学校には這ってでも行かなければならない」という強い社会的プレッシャーがありました。しかし現在は、不登校への理解も進み、「学校に行くことだけがすべてではない」という多様な考え方が社会に広がりつつあります。
そうした中で、学校の中に設置されている「自立支援室」は、教室に居づらさを感じる子どもたちにとって非常に大切な「心の安全基地」となっています。
この支援室で最も大切にされているのは、「子どもたちが自分で決定し、自分で行動する」ということです。 子どもたちは、自分の体調やその日のスケジュールに合わせて、「どの時間を支援室で過ごし、どの時間を教室で過ごすか」を自分自身で計画して決定します。学校側は、その主体性を温かく見守り、支えています。子供達ひとりひとりが安心して暮らせるよう、色々な配慮が必要となることを現場を通して肌で感じました。
2. 「人」以外のアプローチも、子どもの心を動かす
今回の視察で、新しい教育支援の可能性を感じたのは、「スクールドッグ」という存在が、学校に行きづらさを抱える子どもの一歩を後押ししている点です。
学校に行くのがしんどくなってしまい、面談の日であっても当日になるとどうしても動けなくなってしまう生徒もいます。しかし、「大好きな犬(スクールドッグ)が来る今日なら、少し行ってみようかな」と、自ら一歩を踏み出すきっかけが生まれたのです。 実際に学校に来られたかどうかという結果以上に、「スクールドッグがいるなら行ってみよう」と、子どもが自発的に前を向けたという「心の変化」そのものに、この取り組みの極めて大きな意義があると思います。人は心が原動力です(by竈門炭治郎)。
教育現場では「専門の教員や支援員を増やすこと(=人をつけること)」が不可欠であり、現在も自立応援支援室は常時2名体制で手厚く運営されています。しかし、人以外の「犬」という存在を介して、言葉を超えて子どもの心にそっと寄り添うこのアプローチは、従来の支援の枠組みを超えた、全く新しい、そして非常に温かいアプローチのあり方であると非常に勉強になりました。

3. スクールドッグ・犬たちの気持ちに寄り添う
今回の授業では、1年生108名を対象にスクールドッグとの交流が行われました。今回学校に来てくれたのは、10歳のおばあちゃん犬である「スーちゃん」。最初は緊張していた子どもたちも、お互いを思いやるルールを守ることでスーちゃんと打ち解け、温かい笑顔が溢れる時間となりました。また、犬が苦手な子には無理をさせず、外から見守る配慮もなされていました。
さらに、最後の「命の授業」では、言葉を話せない動物たちにも喜びや悲しみがあること、そして日本で多くの尊い命が人間の都合によって失われている悲しい現実が、絵本の朗読を通じて語られました。 「死ぬこと」や「殺すこと」がどういうことなのか。ただ「可愛い」と愛でるだけでなく、相手の気持ちを深く思いやる想像力の大切さに、子どもたち(そして私自身も)深く考えさせられる時間となりました。
このスクールドッグの導入は、もともとPTAからの熱心な要望の声がきっかけでした。
また、自立支援室は、県の「心の居場所推進プロジェクト」による3年間の支援を活用して運営されてきましたが、3年の区切りを迎えた今後の継続や、市独自の支援体制のあり方については、議会でもしっかりと議論し、持続可能な形で守っていかなければなりません。子どもたちが「ありのままの自分でいられる場所」を学校でも、また学校以外でも守っていくことが大人の使命だと考えます。